アトピーの原因は免疫の異常
アトピーの繰り返し起こるかゆみと湿疹は、免疫が過剰反応するのが原因で起こるとされています。
人間の体内には、体内に侵入してきた細菌やウイルス、異物などの抗原を、体内から排除しようとする働きがあります。花粉やハウスダストが鼻から体内に入り込み、くしゃみがでたり、風邪をひいてしまうと、体温が上昇し抗体を作り出して、侵入してきた抗原を撃退する働きのことです。この働きのことを免疫といいます。しかし、この免疫の働きに異常がある場合、アトピーが発症する原因になることがあります。
抗体にはいくつかの種類があります。その中に、花粉やハウスダストに反応することがある抗体があります。この抗体は本来、寄生虫に対応するために存在しています。今から50年以上前は、多くの人が寄生虫に感染していました。当時はアトピーや花粉症の患者は、ほとんどいませんでした。この抗体も、寄生虫のだす小さなたんぱく質に対して多量に産生されていました。しかし、現代では生活水準の向上により、寄生虫に感染している人は極めて少なくなりました。寄生虫の減少により、この抗体も本来の活動することが少なくなりました。そのため、現代では通常体内にはほとんど存在していないようです。しかし、アトピーで免疫の機能に異常がある場合、この抗体が過剰に働いてしまうことがあります。これが原因で、抗体を作る必要がないものに対しても抗体がつくられるようになり、かゆみや湿疹、鼻水や鼻づまりなどが現れるようになります。この状態がアトピーや花粉症です。
参考文献:藤田紘一郎(2013)『乳酸菌生活は医者いらず』三五館
原因はアトピーになる年齢により違う
アトピーは、免疫の低下、皮膚のバリア機能の低下、遺伝、食物アレルギー、生活環境などの原因が合わさって発症します。人によってアトピーの根本的原因は異なりますが、一般的に、アトピーの原因として、子供は食物アレルギー、大人は生活環境がアトピーの原因になっていることが多いようです。しかし、どのような要因が組み合わさってアトピーとなるのかは、具体的には分かっていません。
原因が食事=幼い時のアトピーに多い
子供の体は大人への成長過程であり、様々な器官が未成熟な状態です。そのため、体内に取り込んだ食べ物をうまく分解できないことがあります。これがアレルギーの原因になることがあります。
また子供の皮膚も、様々な器官と同様に未成熟な状態にあり、乾いた状態(ドライスキン)になりやすくなっています。しかし、成長して各器官や皮膚が成熟した状態になると、食べ物をうまく分解できるようになったり、肌が乾燥しにくくなったりするなどして、アトピーの原因がなくなると、アトピーの症状が治まります。
そのため子供のアトピーは大人のアトピーよりも、症状がなくなりやすいです。しかし、仕事などのストレスが原因で、大人になってから再びアトピーの症状が現れる可能性もあるので、油断しないようにしましょう。
原因が生活=青年期以降のアトピーに多い
子供の頃からアトピーが続く場合は、遺伝や免疫の異常などが原因だと考えられます。しかし、大人になってから初めてアトピーになった場合、遺伝や免疫の異常がアトピーの原因だとは考えにくいです。では、いったい何がアトピーの原因になっているのでしょうか?
大人のアトピーの原因は、生活環境にあると考えられます。偏った食生活やストレス、ハウスダストを吸収したときに体内の抗体が過剰に反応してしまい、かゆみや湿疹が現れ、アトピーにつながると考えられます。しかも、その原因の違いから、大人のアトピーは、子供のアトピーよりも治しにくいとされています。なぜなら、育児などは途中でやめることはできませんし、仕事で夜勤などがあると、規則正しい生活ができなくなったりするからです。