アトピーは完治できるのか？
誰もがアトピーを完治させたいと願っています。しかし、アトピーになる明確な理由は現在でも解明されていないようです。さて、解明されていない病気を完治することはできるのでしょうか？ 結論から申し上げると、アトピーは完治できません。日本皮膚科学会ガイドラインの『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版』にはアトピーの完治について次のように記載されています。
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アトピー性皮膚炎は遺伝的素因も含んだ多病因性の疾患であり、現在、疾患そのものを完治させうる治療法はない。しかし、病変部では、皮膚の炎症による皮膚バリア機能のさらなる低下や被刺激性の亢進、掻破の刺激などによって、湿疹がますます悪化する悪循環が生じうるため、薬物療法で炎症を抑制することは、アトピー性皮膚炎の悪化因子を減らすことにもなる。
参考文献：日本皮膚科学会ガイドライン『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版』
日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成委員会
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/atopicdermatitis_guideline.pdf
このように2016年時点では、アトピーを完治させる治療方法は存在していません。そのため薬を使用していても、規則正しい生活をしても、アトピーを完治させることはできません。
アトピーの薬は完治ではなく抑制用
アトピー患者に使用される薬の目的は、アトピーを完治することではなく、アトピーの炎症を抑制することが主眼になっています。アトピーを完治させることができないということは、つまり、薬を使用したり、食事や生活習慣を改善してアトピーの症状がなくなっても、アトピーが完治したわけではありません。
アトピーの症状が抑えられているだけです。アトピーを完治させる方法が見つかっていない現在では、日ごろから偏った食事をしない、睡眠不足にならない、ストレスをため込まない、規則正しい生活をすることなどが、一番のアトピー対策になります。子供の頃にアトピーが完治したと思い込んでいると、大人になってからストレスなどが原因で、再びアトピーの症状が現れることがあります。アトピーの症状が治っても、完治したと油断せずに、アトピー対策を続けましょう。むしろ、「完治にこだわらずに、アトピーと長く上手く付き合う方法を見出す」ことがアトピー対策の真髄とも言えます。