第一章
膝関節痛とは(膝関節痛の種類・シチュエーション・原因)

1-1. 膝関節の仕組みを解説

膝関節の重要性をご存じですか?

膝関節の役割をご存じでしょうか?
膝関節は、私たちの日常生活において非常に重要な役割を果たしています。歩行や立ち上がり、階段の上り下りなど、日々の動作に欠かせない体の一部です。
特に、膝関節は体重を支えるため、他の関節に比べて大きな負担がかかります
例えば、階段を上るときや長時間立っているときなど、膝関節はその体重を支えるために大きな役割を果たしています。このように、膝関節が健康であることは、活動的な生活を送るために不可欠です。

膝関節の構造

膝関節は、以下の骨と構造から成り立っています。

ひざ関節のしくみ。右脚を内側から見た際の骨や腱が詳細に記載されている。
ひざ関節のしくみ(横)

出典:最新医学図解 詳しくわかるひざ・股関節の痛みの治療と安心生活
「最新医学図解」シリーズ (Japanese Edition)、宗田大、15ページ

膝関節を構成する骨

膝関節は、運動機能を支えるために重要な役割を果たしている複数の骨から構成されています。これらの骨は、それぞれ異なる機能を持ち、膝の安定性や可動性に寄与しています。

  • 1.大腿骨(だいたいこつ)
     膝の上部にある太ももの骨です。膝関節を形成する主要な骨であり、膝の動きに大きく関与します。

  • 2.脛骨(けいこつ)
     膝の下に位置するすねの骨です。脛骨は体重を支える役割を担っています。

  • 3.腓骨(ひこつ)
     脛骨の外側に位置する細い骨で、膝関節には直接関与しませんが、足首の安定性に寄与します。

    膝蓋骨の役割

    膝蓋骨(しつがいこつ)は「膝の皿」とも呼ばれ、膝関節の前の部分にあります。この骨は、膝を守る大切な役割を果たしています。
    膝関節が動くときに、膝蓋骨も大腿骨と一緒に働きます。膝を曲げたり伸ばしたりする際にかかる力を分散させることで、関節にかかる負担を軽くします。
    また、膝蓋骨は膝関節を安定させるためのサポートも行います。運動や日常生活での動作(例えば、歩く、階段を上る、しゃがむなど)を行うとき、膝蓋骨がしっかりと位置を保つことで、膝がスムーズに動きます。これにより、関節の痛みやけがを防ぐことにもつながります。
    膝蓋骨は、見た目には平らな皿のような形をしていますが、その役割は非常に重要です。膝の健康を保つためには、膝蓋骨の機能を理解し、適切なケアを行うことが大切です。

    関節軟骨の役割

    関節軟骨は、骨と骨の間にある柔らかい組織で、特に膝関節では重要な役割を果たしています。この軟骨は、衝撃を吸収する働きがあります。例えば、歩くときや走るときに、膝関節にかかる力をやわらげ、関節がダメージを受けないように守ってくれます
    また、関節軟骨は摩擦を減らす役割も持っています。骨同士が直接こすれ合うことを防ぎ、滑らかに動くことを助けます。このため、膝関節がスムーズに曲がったり伸びたりすることができ、日常生活の中で快適に活動できるのです。階段を上る、しゃがむ、またはスポーツをする際にも、関節軟骨のおかげで動きがスムーズに行えます
    しかし、関節軟骨は年齢や過度の使用により、次第に摩耗していくことがあります。このため、関節の健康を保つためには、適切な運動や栄養が重要です。関節軟骨の役割を理解し、大切にすることが、快適な生活を維持するための鍵となります。

    膝関節を支える靭帯と筋肉

    ひざ回りについている筋肉。上から下まで様々な筋肉で構成されている。
    ひざ回りについている筋肉(右脚)

    出典:最新医学図解 詳しくわかるひざ・股関節の痛みの治療と安心生活
    「最新医学図解」シリーズ (Japanese Edition)、宗田大、17ページ

    膝関節は、周囲の靭帯や筋肉によって支えられています。

    膝関節の主要な靭帯

  • 1.前十字靭帯(ACL)
     膝関節の安定性を保つために重要な靭帯で、前方への過度な動きを防ぎます。

  • 2.後十字靭帯(PCL)
     膝関節が後方に動くのを防ぎ、膝の安定性をサポートします。

  • 3.内側靭帯(MCL)
     膝関節の内側を支える靭帯で、外側への動きを制御します。

  • 4.外側靭帯(LCL)
     膝関節の外側を支える靭帯で、内側への動きを防ぎます。

    膝を動かす筋肉群

  • 1.大腿四頭筋
     太ももの前面にある筋肉群で、膝を伸ばす動作に関与します。この筋肉が強いと、膝関節にかかる負担を軽減することができます。

  • 2.ハムストリングス
     太ももの裏側にある筋肉群で、膝を曲げる動作に関与します。この筋肉も膝関節の安定性を保つために重要です。

    膝関節の動き

    膝関節は、主に屈曲と伸展の2つの動きを行います。

    膝関節の屈曲と伸展

    膝を曲げるときは、足を後ろに引く動きで、太ももの裏の筋肉(ハムストリングス)が使われます。膝を伸ばすときは、足をまっすぐにする動きで、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)が使われます。この2つの動きがスムーズにできることで、歩いたり立ったり、日常のいろいろな動作がしやすくなります。

    可動域の重要性

    膝関節の動きの広さ(可動域)は、生活の快適さに直接関係しています。膝を自由に曲げたり伸ばしたりできると、立ち上がったり座ったり、階段を上ったりするのが楽になります。でも、膝の動きが狭くなると、こうした動作が難しくなり、日常生活が不便になります。

    膝関節の仕組みを知ることは、膝を健康に保つために大切です。膝は日常生活を支える重要な部分なので、日頃からケアや注意が必要です。生活習慣や運動、栄養に気を配ることで膝の健康を守り、快適な生活を送れるようになります。

    参考:最新医学図解 詳しくわかるひざ・股関節の痛みの治療と安心生活
    「最新医学図解」シリーズ (Japanese Edition)、宗田大