第一章
膝関節痛とは(膝関節痛の種類・シチュエーション・原因)

1-2. 膝関節痛の種類とそれぞれの原因とは?

右ひざをおさえる男性の画像
膝をおさえる男性

膝関節痛は、多くの人が経験する痛みの一つで、日常生活に支障をきたすことがあります。
膝関節痛にはどのような種類があるのでしょうか?

膝関節の痛みにはいくつかの原因があり、急性慢性の2つに分けることができます。

急性膝関節痛は、外傷や急に大きな負担がかかったときに起こります。この場合、早めに適切な処置をすることがとても重要です。

慢性膝関節痛は、長い間の負担や加齢が主な原因で、時間をかけてじわじわと痛みが出てくることが多いです。こうした痛みを防ぐためには、適度な運動や体重管理が役立ちます。

また、関節リウマチや痛風といった病気や、運動不足も膝の痛みの原因になることがあります。膝を守るためには、日常生活の中で膝に優しい習慣を取り入れ、早めに対策を講じることが大切です。

ここでは、膝関節痛の種類(以下の3つ)と、主な原因について解説します。

  • 1.急性膝関節痛
  • 2.慢性膝関節痛
  • 3.変形性膝関節痛
  • 4. その他の要因
  • 1. 急性膝関節痛

    急性膝関節痛は、外的な要因やけがによって突然起こる膝の痛みです。スポーツ中や日常生活で膝をひねったり、強い衝撃を受けたりすると発生しやすくなります。

    膝の捻挫や骨折などの外傷が原因で起こることが多く、階段からの転倒や交通事故、スポーツ中の激しい接触などで膝に強い衝撃が加わると、靭帯や軟骨、骨に損傷が生じることがあります。

    特にサッカー、バスケットボール、スキーなどは膝に大きな負担がかかりやすく、けがが起こりやすいスポーツとされています。

    2. 慢性膝関節痛

    慢性膝関節痛は、長い間続く膝の痛みで、主に加齢や過度の使用が原因です。膝関節は体重を支える大切な部分ですが、年齢とともに摩耗しやすくなります。

    慢性膝関節痛の主な原因には、「加齢による軟骨の劣化」「運動不足や肥満の影響」「遺伝や職業による負担」の3つがあります。

    1つ目は加齢による軟骨の劣化です。加齢によって膝の中にある軟骨は少しずつ減っていきます。軟骨は膝の動きをスムーズにするクッションの役割を果たしているため、これが減ると膝に痛みを感じることがあります。

    特に50代以降は、「膝が痛い」と感じる人が増え、日常生活に支障をきたすこともあります。痛みを和らげる方法やケアを知っておくことが大切です。

    2つ目に、運動不足です。運動不足になると膝を支える筋肉が弱くなり、膝への負担が増えます。さらに、肥満になると体重の約3倍の力が膝にかかるため、これも膝の痛みを引き起こします。

    3つ目に、遺伝や職業による負担です。家族に膝の問題があると、自分も同じ症状が出やすくなります。職業による影響も大きく、膝を使う仕事(例えば建設業や運搬業)をしていると、膝に負担がかかり、痛みが出やすくなります。こうしたことを理解し、日常生活に気をつけることが重要です。

    3.変形性膝関節痛

    正常な膝と変形性膝関節症の膝の比較画像。軟骨がすり減っている。
    変形性膝関節症の様子

    変形性ひざ関節症は、長い時間をかけて膝にかかる負担が原因で、関節のクッションである軟骨がすり減り、骨が直接こすれ合うようになる病気です。この病気は特に加齢によって起こりやすく、日本の高齢者の中でも多くの人が悩んでいます。

    変形性ひざ関節症の発症の流れは、以下です。

    ①軟骨の劣化
    ②骨の接触
    ③変形性ひざ関節症

    まず年齢を重ねることで軟骨が少しずつ薄くなり、膝への負担が増えると軟骨が次第にすり減っていきます。軟骨のクッションがなくなると、骨同士が直接ぶつかり合うようになり、この段階では痛みや腫れが起こります。最終的には、関節そのものが変形し、膝を自由に動かせなくなってしまいます。

    そして、特に注意が必要なのは女性です。女性は男性に比べてこの病気にかかりやすいとされており、加齢とともに膝を長く使うためリスクが高まります。また、体重が重い人は膝への負担が増え、発症の可能性がさらに高くなります。日常生活で膝をいたわることで、これらのリスクを減らすことが重要です。

    4.その他の要因

    急性・慢性に限らず、膝関節痛を引き起こす可能性のある他の要因も存在します。以下に、膝関節痛の原因となりうるその他の要因について解説します。

    関節リウマチや痛風などの病気

    関節リウマチは、体の免疫が自分の関節を攻撃してしまう病気です。これにより、膝を含むいくつかの関節が炎症を起こし、特に朝にこわばりや腫れ、痛みが出やすいです。痛みが辛いため、早めに治療を始めることが大切です。また、痛風は体内の尿酸が関節に溜まり、急に強い痛みを引き起こします。こちらも早期の対応が重要です。

    不適切な運動や姿勢

    膝には正しい運動や姿勢が必要です。間違った運動や悪い姿勢を続けると、膝に負担がかかり、痛みが出ることがあります。例えば、膝に負担の大きい激しい運動をしすぎたり、姿勢が悪いと膝に無理な力がかかります。ハイヒールを頻繁に履くことも膝に良くないので注意が必要です。膝を守るためには、運動や姿勢に気をつけることが大切です。

    参考:最新医学図解 詳しくわかるひざ・股関節の痛みの治療と安心生活
    「最新医学図解」シリーズ (Japanese Edition)、宗田大