第二章
膝関節痛の予防・改善をするには?

2-4. 膝関節痛の予防・改善方法④医薬品・薬物療法による治療とは?

薬を勧める人の画像
医薬品

医薬品による治療の重要性

膝関節の痛みは、多くの人が経験する健康の問題で、日常生活に大きな影響を与えます
医薬品を使った治療はその管理や膝関節痛の改善にどのような効果があるのでしょうか?
膝関節痛に合った医薬品を使うことで、痛みを和らげたり、動きやすくなったり、生活の質を良くすることができます。

膝関節痛の原因に対するアプローチ

膝関節痛の原因には、年齢、ケガ、関節リウマチ、変形性関節症、軟骨の損傷などがあります。これらの問題に対処するために、医薬品は以下のように役立ちます。

1.痛みの軽減
鎮痛剤や抗炎症薬を使用することで、膝関節の痛みを迅速に軽減します。

2.炎症の抑制
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、関節内の炎症を抑えるのに効果的です。

3.関節の機能改善
ヒアルロン酸注射などを用いることで、関節の滑らかな動きを助け、日常生活の動作を楽にします。

医薬品の役割と種類

医薬品は、膝関節痛の治療においてさまざまな役割を果たします。これには、痛みの管理、炎症の抑制、さらには関節の健康を支える成分の補充が含まれます。主な医薬品の種類としては、以下のものが挙げられます。

  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
  • ステロイド性抗炎症薬
  • ヒアルロン酸注射

これらの医薬品は、症状や病状に応じて適切に使い分ける必要があります。

膝関節痛改善の主な医薬品の種類

膝関節痛治療の医薬品。
「非ステロイド性抗炎症薬」「ステロイド性抗炎症薬」「ヒアルロン酸注射」の3種類が代表的。
膝関節痛治療の医薬品3種類

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、膝の痛みを和らげるためによく使われる薬です。これらの薬は、痛みを軽くし、炎症を抑える働きがあります。代表的なNSAIDsには、イブプロフェンやナプロキセンがあります。これらの薬は、痛みを引き起こす物質の生成を抑えることで効果を発揮します。

使用上の注意点が一つあります。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、短い期間の使用が勧められています。長期間使うと、胃腸の問題や腎臓の機能が悪くなることがあるため、使用する際は必ず医師に相談してください。

ステロイド性抗炎症薬

ステロイドは、強い抗炎症作用を持つ薬剤で、膝関節の痛みや腫れなどの症状を緩和するために使用されます。特に、急性の炎症が激しい場合に短期間で症状の改善が期待されます。

ステロイドは、注射と内服薬の2種類があります。即効性があることが特徴ですが、副作用が多いため、長期間の使用は避けるのが一般的です。例えば、長期使用により骨がもろくなったり(骨密度の低下)、免疫力が低下して感染症のリスクが高まる可能性があるため、医師の指示に従って慎重に使用する必要があります。

ヒアルロン酸注射

ヒアルロン酸は、関節をスムーズに動かすために必要な成分で、関節液の中に含まれています。膝関節にヒアルロン酸を直接注射することで、関節の動きがスムーズになり、痛みが和らぐ効果が期待できます。この方法は、特に変形性膝関節症の方に役立ちます。

ただし、ヒアルロン酸注射にはいくつかの注意点があります。効果がどのくらい続くかは人によって違い、時々治療を受ける必要があるかもしれません。また、注射を受けるとアレルギー反応が出る場合もあるので、使用する前には必ず医師に相談してください。

医薬品の使用に関する注意点

副作用の可能性

医薬品を使うと、副作用が出ることがあります。特に、NSAIDsやコルチコステロイドという薬は、長い間使うと消化器の問題や腎臓の働きが悪くなること、骨が弱くなることが報告されています。これらのリスクをしっかり理解し、注意深く使うことが大切です。

医師との相談が必要

医薬品を使うときは、必ず医師と相談しましょう。自分の症状や病歴に合わせた適切な治療法を提案してもらえます。自己判断で薬を使うことは避け、他の薬と一緒に使う前には、医師に確認することがとても重要です。

医薬品以外の治療法との併用

膝関節痛の管理には、医薬品だけでなく他の治療法も重要です。

まず、「リハビリテーション」は、膝関節の機能回復や筋力強化に大きな役割を果たします。専門的な指導のもとで行われる運動療法やストレッチが、痛みの軽減や動作の改善に寄与します。

そして、「生活習慣の見直し」も膝関節の健康に大きな影響を与えます。適切な体重管理、栄養バランスの取れた食事、定期的な運動を心がけることで、膝関節への負担を軽減し、全体的な健康状態を向上させることができます。

参考:最新医学図解 詳しくわかるひざ・股関節の痛みの治療と安心生活
「最新医学図解」シリーズ (Japanese Edition)、宗田大