■高血圧を何とかしたい!血圧を下げるお茶習慣
日本人が抱える生活習慣病の中で、もっとも有病者が多い病気が高血圧症です。高血圧の怖さは、自覚症状がないままに進行していくことで、長期間にわたって気づかずに放置すると、血圧の上昇に伴って血管に負担がかかり、動脈硬化症に端を発した二次疾患を招きます。具体的には脳卒中、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞などの脳や心臓の疾患が多く、いずれも死亡率の高い病気ばかりです。
ですから、普段から血圧に気を配ることは、大病を患うリスクを軽減することにつながるのです。血圧は日頃の食生活で大きく変化し、なかでも健康茶は高血圧の予防や改善に優れた効果を持っているものが多くあります。余分な塩分を排出して血圧を降下させるもの、血管を拡張して高血圧を予防するものな有効成分によって作用も違ってきます。ぜひ自分に合った健康茶を見つけてみてくださいね。
■血圧を下げるのにおすすめのお茶 ベスト3
1位 ギャバロン茶
◎特徴:
ギャバロン茶は1986年に農林水産省の茶葉試験場で、緑茶の生葉を新鮮に保つための研究中に、偶然誕生した高機能のお茶です。通常の緑茶の10倍近いGABA(ギャバ)が含まれており、緑茶の有効成分に加えて、GABAの作用が様々な効能をもたらします。
◎血圧を下げる有効成分:
GABA(ギャバ)
◎有効成分の作用:
GABAには交感神経のバランスを保ち、血圧の上昇を抑える働きがあります。さらに興味深いことに、GABAを単独で摂取するよりも、ギャバロン茶を飲んだ方が効率よく血圧が降下するところです。それはギャバロン茶に含まれる他の成分との相互作用と考えられています。
◎研究データ:
・ラットの血圧降下試験
25匹の血圧自然発症ラットを8匹ずつの3郡に分け、それぞれ同じ条件下で「ギャバロン茶の浸出液を与えた群」「普通茶を与えた群」「イオン交換水を与えた群」として飼育し実験しました。
すると、普通茶とギャバロン茶を交換して飲用させた際、あきらかに作用が認められました。また、ラット実験によると、ギャバロン茶の投与によって尿中のナトリウム量が多く体外に排出されることが判明。
高血圧症の原因のひとつにあげられる食塩の取りすぎ(ナトリウムの取りすぎ)に対し、ギャバロン茶に含まれるカリウムが排出促進のメカニズムに影響していると考えられます。
(出典:大森正司,矢野とし子,岡本順子他「嫌気処理緑茶(ギャバロン茶)による高血圧自然発症ラットの血圧上昇抑制作用」NipponNogeikagakuKaishi
Vol.61,No.ll,pp.1449-4451,1987)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nogeikagaku1924/61/11/61_11_1449/_pdf/-char/ja
・通院患者のギャバロン茶服用成績
比較的軽症で薬剤未使用の高血圧患者13名(40~62歳の男子)を対象に、ギャバロン茶3g入りのティーパック1袋を150~200mlの熱湯で2~3分浸出し、1日3回、飲用しました。
表を見ると、13名の高血圧症者のうち、やや下降を含めて半数以上の7名が「下降」を示しています。また、この実験の際、ギャバロン茶飲用による副作用についても調べた結果、不快な自覚症状はみられず「疲労感がなくなった」などという証言が得られました。さらには、健康な人を対象に行った実験で、「よく眠れるようになった」「便秘が治った」という証言も得られました。
2位 杜仲茶
◎特徴:
杜仲は中国では4千年以上も前から生薬として利用されてきた落葉高木です。日本では現在、主に薬用として栽培されています。お茶は杜仲の葉から作られ、少し苦みのある芳ばしい味が特徴です。
◎血圧を下げる有効成分:
杜仲葉配糖体(ゲニポシド酸) 、グッタペルカ
◎有効成分の作用:
杜仲の葉に含まれるゲニポシド酸などの固有成分である杜仲葉配糖体は、血管内皮由来の血管弛緩因子(NO等)を活性化し、また副交感神経(ムスカリン受容体)に作用し、平滑筋を弛緩させ、血流抵抗を低下させて、血圧を下げる効果が確認されています。また、グッタペルカという成分は、血管を強化して血圧を下げる作用を持っています。
◎研究データ:
高血圧疾患モデルのマウスに、飼料粉末の1%に杜仲茶エキスを混合して2週間摂取させ、3週間以後に2%混合で摂取させたところ、試験開始4週目以降に、エキスを摂取させなかった群に比べて、有意に血圧上昇を抑制しました。また、杜仲葉エキスは用量増加に依存して血圧上昇抑制を有することが明らかになりました。また、杜仲葉エキスを5%混合した群では、試験開始2週間後より降圧作用を示し、2.5%混合した群では試験開始4週間後に血圧上昇を抑制したため、効果の発現時期は用量増加に依存して早くなることが明らかとなりました。
(中村隆典「特定保健用食品、杜仲葉エキスの化学的成分・降圧作用・抗変異原性作用に関する研究」熊本技術大学学術リポジトリ 1998)
http://reposit.lib.kumamoto-u.ac.jp/bitstream/2298/13850/1/33-0072.pdf
3位 トウモロコシ茶
◎特徴:
世界三大穀物のトウモロコシ。江戸時代には薬として取り入れられたトウモロコシの実。その実を、乾燥させたものからとれるお茶は、栄養豊富で、香ばしく甘みがあるのが特徴です。
◎血圧を下げる有効成分:
水溶性食物繊維、カリウム
◎有効成分の作用:
高血圧者に対してトウモロコシを含めた特定の食物繊維の投与が血圧低下に効果のあることが研究示されています。その理由は確定的ではないものの、食物繊維によるナトリウム排泄促進や、インスリン感受性が高まるためではないかと考えられています。
またトウモロコシに含まれるカリウムが、過剰な塩分を体外に排出することで血圧を下げることも確認されています。
◎研究データ:
「とうもろこし水溶性食物繊維(CSD)」の血圧に対する影響を中高年男女を対象に研究。人に対するCSDの影響は、平均年齢60歳の18人の対象者に4週間、毎食59のCSDを湯又は茶に溶いて摂取させました。対象者は、収縮期血圧140mmHg以上と以下の2群に分けた。6名の軽度高血圧群では、CSDの摂取によって、収縮期血圧と拡張期血圧ともに有意に低下しました。
(出典:池上幸江、大澤佐江子、石井恵子「とうもろこし水溶性食物繊維の人および高血圧自然発症ラットの血圧に対する影響」日本食物繊維誌
Vol.2 No.2 1998 )
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjdf1997/2/2/2_2_67/_pdf/-char/en
■ダイエットに効果のあるその他のお茶
ラフマ茶
中国原産のラフマはとても生命力の強い植物で、中国では新薬としても認可されたお茶でもあります。ラフマ茶にはフラボノイド、ルチン、ハイペリンが含まれており、いずれも血圧を下げて正常値にする働きがあります。やや甘く口当たりもよいお茶なので、高血圧予防にぜひ試してはいかがでしょうか。
クミスクチン茶
クミスクチンは東南アジア原産で、沖縄では三大薬草のひとつに数えられています。その葉や茎から作られるお茶には、カリウムが豊富に含まれており、これが血液中の余分な塩分と水分を引き下げて、血圧を下げると言われています。
イチジクの葉茶
栽培果実として世界最古の歴史を持つイチジク。紀元前3000年頃から栽培されており、日本には江戸時代初期に渡来しました。一方で、健康茶としては主に葉を用います。イチジクの葉のお茶には、血管障害に有効な成分が多数含まれており、特にプソラレンは血圧を下げる働きがあります。
クチナシ茶
クチナシは鑑賞用の香り高い花として有名ですが、クチナシのお茶は乾燥した果実を使います。クチナシ茶にはゲニポサイドとクロチンで、これらには血圧を下げる作用があります。高血圧の方は、試しに飲んでみるのがおすすめです。
ドクダミ茶
医薬品としても認可されているドクダミ。ドクダミはミネラルとビタミンを豊富に含み、そのなかでもミネラル成分カリウムには、体内の余分なナトリウム(塩分)を排出する働きがあり、血圧を下げるのに役立ちます。
ソバ茶
ソバの歴史は古く、奈良時代以前には栽培されていました。ソバ茶の特徴は何と言っても、ルチンを豊富に含んでいること。ルチンは血流をスムーズにし、血圧を下げて安定させます。そのため、高血圧ぎみの方にはおすすめです。
ユーカリ茶
オーストラリア原産のユーカリは、先住民のアボリジニが万能薬として使用していました。ユーカリの葉から作られるお茶には、カリウムが多く含まれていて、これが体内のナトリウムの排出を促進して、血圧を下げる作用があり、高血圧の改善に役立ちます。
マテ茶
南米の人々の暮らしに欠かせないマテ茶。現地では「飲むサラダ」と呼ばれるほど栄養豊富なマテ茶には、血管を拡張させて血圧を下げるという効果のあるコリンが含まれています。また、含まれているカリウムにも血圧降下作用があり、高血圧の予防と改善に効果を発揮します。
黒豆茶
大豆の一種である黒豆。黒豆に含まれるアントシアニンには動脈硬化を抑制する効果があることが分かっています。その他、サポニンやカリウムなど血圧を下げる効果のある成分が含有されているため、高血圧の予防と改善に期待できます。