■お茶で免疫力を高めて、がんを予防しよう
人の体は約60兆もの細胞によって作られており、その細胞が突然変異を起こし、無秩序に増え続ける細胞が生まれることがあります。これが「がん細胞」です。これが増殖すると「悪性腫瘍=がん」になるのです。ただし、がん細胞というのは、多くの場合、免疫細胞によって破壊され、腫瘍になる前に死滅するものます。しかし、老化やストレスなどに起因し、免疫機能が低下していると、がん細胞の増殖を抑えられなくなってしまいます。
ですから、がん予防には、普段から免疫力を高めておくことが大切というわけです。そのためには栄養バランスの取れた食事と適度な運動、喫煙やストレス負荷を避けることなどが基本。そこをさらに補強するのが、健康茶です。健康茶の中には免疫力を高めるもの、がん細胞の増殖を抑えるものなど様々な効能があるので、自分に合ったお茶を選ぶと良いでしょう。
■がん予防に効果あり!おすすめのお茶 ベスト3
1位 クマザサ茶
◎特徴:
クマザサは日本各地で植栽されることの多いイネ科の笹で、冬の雪の下でも成長を続ける強い生命力があり、各種栄養素が豊富に含まれています。なかでも生育1年ほどの若いクマザサはもっとも栄養価が高く、お茶の原料としてはほとんどこの若葉が使用されています。
◎がん予防への有効成分:
パンフォリン、アラビノキシラン、リグニン
◎有効成分の作用:
クマザサには、がん予防に効果のある成分が複数含まれており、相乗効果でより効果的に作用します。ササ多糖類の一種であるパンフォリンやアラビノキシランは体の免疫力を向上させ、がん細胞の増殖を抑制します。また、リグニンには、がんの原因となるウイルスを撃退する作用があるとされています。
◎研究データ:
クマザサの葉から余分な含有物を除去した水溶液を、マウスに一定量毎日与え、同時に腫瘍を発生させる成分を注射。毎日蒸留水を与えたマウスと比較して、腫瘍の発現日数、発現率、発がん性指数、腫瘍抑制率を確認して、抗腫瘍作用を確認。その結果、マウス腫瘍の抑制率は約50%であり、有意にがんの元ととなる腫瘍を抑制することが分かった。
(出典:久保山昇,藤井彰,田村豊幸「熊笹葉エキス(BambooLeafExtracts)の抗腫瘍作用に関する研究」日薬理誌 77
579~596 1981)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj1944/77/6/77_6_579/_pdf/-char/ja
2位 ハトムギ茶
◎特徴:
ハトムギは「穀物の王様」と呼ばれ、タンパク質を多く含み、ビタミンB1、B2が白米の2~3倍もあるのが特徴。昔から「肌をなめらかにする」と言われており、イボ治療の民間薬としても有名です。
◎がん予防への有効成分:
コイクセラノイド
◎有効成分の作用:
コイクセラノイドには、吹き出物、イボ、がんの元となるような腫瘍を抑制する作用があります。漢方薬としても使われている成分で、医薬品として厚生労働省に認められています。効能高くて副作用が無い、優れた成分です。
◎研究データ:
ハトムギの子実の熱水抽出物、ハトムギの子実、渋皮、薄皮、外殻の熱水抽出物の2種類を用いて、培養したヒト由来の癌細胞の増殖抑制試験、発がん予防試験、抗炎症試験を行ったところ、いずれも抗腫瘍活性の作用が認められた。そのため、ハトムギ茶にはがんを抑制する抗腫瘍作用があることが分かった。
(出典:鈴木里芳、徳田春邦、鈴木信孝他「ハトムギの抗腫瘍ならびに抗炎症作用に関する検討、日本補完代替医療学会誌 第10巻第2号 75-85
2013)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcam/10/2/10_75/_pdf/-char/ja
3位 杜仲茶
◎特徴:
杜仲は中国では4千年以上も前から生薬として利用されてきた落葉高木です。日本では現在、主に薬用として栽培されています。お茶は杜仲の葉から作られ、少し苦みのある味が特徴です。
◎がん予防への有効成分:
ユーコミシンA
◎有効成分の作用:
杜仲茶に含まれるユーコミシンAは、人工がん幹細胞(iCSCL-10A)の増殖抑制活性があることが確認されています。がん細胞に対して、強い阻害活性を示し、未分化性や自己複製能を阻止したことから、がん幹細胞に特異的な阻害作用があることが分かっています。
◎研究データ:
2016年の最新の研究で、がん幹細胞の特徴を兼ね備えた人工がん幹細胞を用いて、この細胞の増殖を特異的に抑制する新規化合物をトチュウ(杜仲)緑葉の成分中に発見しました。
iPS細胞技術を活用して作製した人工ヒトがん幹細胞を用いて、この細胞の細胞増殖および自己複製能に対する阻害活性をもつ物質のスクリーニングを実施し、トチュウの緑葉成分に含まれる抗がん幹細胞増殖抑制因子を特定してEucommicin
A(ユーコミシンA)と名付けました。この成分はがん細胞に対して、強い阻害活性を示し、未分化性や自己複製能を阻止したことから、がん幹細胞に特異的な阻害作用があることが判明しました。この化合物の発見には、市販されているトチュウ葉の乾燥粉末の抽出物が用いられましたが、その後トチュウの生葉でも存在を確認し、本化合物が新規天然化合物であることが明らかになりました。
(出典:鈴木 義人、梁 明秀、学術誌Phytochemistry2月号、2016)
■がん予防に効果のあるその他のお茶
アシタバ茶
葉を摘んでも明日には新しい葉が生えるといわれるほど生育旺盛なアシタバは、その強い生命力や数多く含まれる栄養素から、不老長寿の妙薬と呼ばれます。その主成分カルコンは、がん細胞の働きを抑える効果があるとされており、がん予防に役立ってくっるお茶です。
アロエ茶
アロエのお茶に利用されるのは、キダチアロエという種類のアロエです。キダチアロエに含まれるアロミチンやアロエチンは、がん予防の効果が知られており、腫瘍がつくられるのを抑制します。また強い殺菌作用を持つため、普段からからだの免疫力を高めるにはもって来いのお茶です。
イグサ茶
畳の原料として知られるイ(=イグサ)。イの草を乾燥させて煮出すお茶の有効成分には、フラボノイド化合物、クロロゲン酸などには抗変異原性と呼ばれる、遺伝子の変異を防ぐ作用があり、遺伝子の異常によって発生するがんの予防につながります。
スギナ茶
スギナは雑草の一種として知られますが、実は世界各国の民間医療で使われている草でもあります。がんに対しても高い予防効果があり、葉緑素やサポニンが細胞の免疫力を高め、がん細胞の増殖を防いでくれるので、おすすめです。
ヒシ茶
ヒシは全国の湖沼に広く自生する水草で、漢方では古くから用いられてきた生薬でもあります。豊富に含まれる加水分解型タンニン、エラグ酸が、細胞の突然変異を抑制して、がんを予防する効果があると言われているお茶です。
ビワの葉茶
ビワといえば、果実が有名ですが、ビワの葉も古くから薬効があるものとして知られていました。ビワががんに効くというのは民間療法として伝わっており、アミグダリンという成分が関係しているといわれ、この成分はレ-トリル療法として、がんの治療に使われることがあります。
マイタケ茶
食用と知られるマイタケは、近年の研究で薬効が明らかになっており、注目されています。なかでもMD-フラクションにはT-細胞などの免疫細胞を活性化する働きがあり、がんの予防に高い効果を発揮することが分かってきています。お茶なら毎日飲みやすいので、がん予防にもおすすめです。