■糖尿病になるその前に!お茶で予防習慣始めよう
糖尿病は高血圧症、脂質異常症に次いで有病者の多い生活習慣病です。人が活動するためのエネルギー源であるブドウ糖。そのブドウ糖を血液によって、全身の細胞・筋肉・内臓に届けるのに欠かせないのが、すい臓から分泌されるインスリン。ところがこのインスリンが様々な要因によって、分泌が少なくなってしまい、ブドウ糖が血液中にたまって、体全体がエネルギー不足になってしまうことで生じる体の不調が、糖尿病です。病状が悪化すると、各器官の働きが低下し、深刻な病気を引き起こすことにつながります。
そんな糖尿病を予防するには、食生活の改善と健康茶の併用が効果的。健康茶に含まれる成分には、インスリンの分泌量を高めて、血糖値を降下させる働きがあるものがあります。食事と一緒にそうしたお茶を飲むことで、さらに効果的な働きが期待されます。
■糖尿病予防に効果あり!おすすめのお茶 ベスト3
1位 桑の葉茶
◎特徴:
桑は中国や日本に生育するクワ科の落葉高木です。絹を作り出す、蚕の飼料として有名ですね。最近では、栄養価の高さも注目され、お茶としての需要も伸びています。味は香ばしく、ほのかな甘みがあります。
◎糖尿病予防に有効な成分:
1-デオキシノジリマイシン(DNJ)
◎有効成分の作用:
桑の葉に特有の成分「1-デオキシノジリマイシン」はα-GI物質(α-グルコシダーゼ阻害物質)の一種です。通常、唾液や膵臓でグルコースに分解された糖を、小腸でグルコシダーゼが吸収します。それがこの1-デオキシノジリマイシンのα-GI効果でグルコシダーゼの働きを抑えてくれることで、小腸からの糖の吸収を遅らせることが出来ることが分かりました。それが血糖値の上昇を抑制することになり、そのおかげでインスリンの過分泌を抑えくれます。これにより、糖尿病の予防効果が期待できるのです。
◎研究データ:
1)糖尿病モデルマウスに桑葉を5%添加した餌を与えた所、糖尿病の発症率を有意に低下することが分かりました。また、桑葉を2.5%添加した餌を与えた場合も糖尿病の発症率の減少傾向が見られました。
(論文体裁予定「日本栄養・食糧学会誌」 ※公開資料より抜粋)
2)糖尿病モデルのマウスに桑葉を5%添加した餌を与えた所、血糖値の上昇を有意に抑制する事が分かりました。また、桑葉2.5%添加した餌を与えた場合も血糖値の上昇を抑制する傾向が見られました。(論文掲載予定「日本栄養・食糧学会誌」)
3)糖尿病予備軍(空腹時血糖値が102~147㎎/dl)の方10名を対象として、桑葉及びプラセボ(偽薬)を、食前または食後に1.8g、1日3回(5.4g)それぞれ4週間摂取してもらいました。この結果、桑葉はプラセボと比較して有意に空腹時血糖値を低下させる事が分かりました。(日本赤十字社和歌山医療センターにて実施)
(出典:いずれも各項目記載の桑の葉に関する公開資料より抜粋)
2位 サラシア茶
◎特徴:
サラシア茶は、インドに自生するニシキギ科の樹木、サラシアオブロンガの地下部(根)を使用したお茶です。インドでは2000年も前から伝統医療でサラシアを用いてきました。ここ10年ほどの間で、科学的に有効成分の効果が実証されつつあります。
◎糖尿病予防の有効成分:
サラシノール、コタノール
◎有効成分の作用:
サラシノールとコタノールは、血糖値の上昇を抑制し、炭水化物消化酵素の作用を抑えることで、デンプンをブドウ糖に分解する酵素の発生を抑えることが分かっています。そのため、炭水化物が吸収されないまま排出されてしまうことで、余計な糖分の吸収を防ぎ、糖尿病の予防に非常に効果的です。
◎研究データ:
サラシアの水抽出物(SRE)が、食後の過血糖にどのように作用するか、ラットおよびヒトで検討したところ、特にショ糖麦芽糖およびα化デンプン負荷によるラットの血糖値の上昇を抑制しました。また、投与量の増加に伴い作用の持続時間も延長しました。
また、健常な成人男女にショ糖(50g)を負荷した耐糖能試験において、サラシアのミズ抽出物はショ糖負荷5分前、200mgの服用で、30分後の血糖値を有意に抑制しました。
(出典:下田博司,川守秀輔,河原有三「スリランカ有用植物サラシア・レティキュラータ(Salaciareticulata)水抽出物のラットおよびヒトの食後過血糖に及ぼす作用」日本栄養・食糧学会誌Vol.51
No.5 279~287 1998)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs1983/51/5/51_5_279/_pdf/-char/ja
3位 グァバ茶
◎特徴:
グァバは熱帯アメリカ原産の常緑樹で、沖縄で盛んに栽培されています。果実を使ったグァバジュースが有名ですが、お茶としては葉と果実を乾燥して使用し「蕃麗茶」の呼び名でも親しまれています。
◎花粉症への有効成分:
タンニン、ケルセチン
◎有効成分の作用:
渋味成分のタンニンはケルセチンとともによく作用し、すい臓を活発化して、インスリンの生成を助けます。この結果、インスリンがブドウ糖の過剰生産を抑え、血糖値の上昇を予防します。
◎研究データ:
グアバ葉からグアバ葉の熱水抽出物(グアバ茶)を調製し、ヒトへの飲用試験を行い食後血糖値への影響を調べた。年齢40歳以上BMI22。0以上の対象者ではグアバ茶飲用により食後の血糖値の低下が認められました。これらの結果からは糖の消化を抑制することにより、食後血糖値の上昇を低下させ、結果的に糖尿病の進展を遅らせることが予想されます。
(出典:出ロヨリ子,長田邦子,内田和美他「グアバ葉熱水抽出物のdb/dbマウスにおける抗糖尿病効果およびヒト飲用試験による食後血糖値上昇抑制効果」グアバ葉熱水抽出物の抗糖尿病作用Vol.72,No.8,1998)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nogeikagaku1924/72/8/72_8_923/_pdf
■糖尿病予防に効果のあるその他のお茶
ゴーヤ茶
熱帯アジア原産のゴーヤは、独特の苦みが特徴的。ゴーヤの実の苦み成分のもとモモルデシンとチャランチンには血糖値を下げ、糖尿病予防に効果があります。ゴーヤのお茶はその苦い果実部分を使うものの、乾燥させて、丁寧に焙煎して作る過程で、驚くほど苦みが薄れるので飲みやすくなるのでおすすめです。
シークワーサー茶
シークワーサーは台湾や沖縄を中心に自生する柑橘類で、その果実の皮を乾燥させたものがお茶になります。シークワーサーに含まれるノビレチンという成分には、糖尿病に効くとされる成分で、他の柑橘類に比べて2~12倍も多く含まれているのが特徴です。
ノニ茶
インドネシア原産のノニは、非常に生命力の強い植物で、その葉、果実、幹、根のすべてに栄養が詰まっており、その栄養素は140種類以上に上ります。そのなかでも、ノニのお茶に使う果実に含まれるプロゼロネーゼはインスリンの分泌量を調整して、血糖値を下げる効果で、糖尿病に効くとされています。
バナバ茶
バナバは、フィリピンで千年以上も前から民間薬として常飲されている、政府公認の医薬用植物です。有効な成分はコロソリン酸で、インスリンを活性化するのではなく、インスリンと同じ働きをして、血中の糖分を抑制するという珍しい作用で、糖尿病予防に貢献してくれるお茶です。
ラカンカ茶
薬効の多いラカンカは中国の一部地域にのみ自生する貴重な植物。ラカンカのお茶には、食物繊維の一種であるテルペングリコシド配糖体が含まれ、血糖値を下げるだけでなく、砂糖代わりにになる低カロリーの甘味成分のため、糖尿病患者に最適な甘味料としても重宝されています。
ギムネマ茶
インドや東南アジアに自生するギムネマから作られるお茶。原料の葉に含まれるギムネマ酸は、ブドウ糖が腸内で吸収されるのを抑える効果があるほか、舌の感覚が一時的にマヒして甘みを感じなくなることから甘い物を遠ざけることにつながり、、糖尿病予防には最適です。
ヒュウガトウキ茶
ヒュウガトウキは、九州の一部にだけ自生する貴重な植物で、昔から民間薬として珍重されてきました。ヒュウガトウキの主成分であるYN-1は、すい臓から分泌されるインスリンを増やす作用があります。その作用により、血糖値を正常に保つことができ、糖尿病の予防に役立ちます。
シモン茶
中南米に自生するシモンは白い芋で、マヤ文明のころから先住民族が食用や民間薬として栽培してきました。シモンのお茶には、CAFという酸可溶性糖タンパクが含まれており、すい臓に働きかけてインスリンの分泌を促して血糖値を下げる作用があり、糖尿病の予防に効果が期待できます。