認知症・物忘れ予防対策①「運動・知的活動」【2章-1】

運動・知的活動で認知症・物忘れを予防できる?

認知症・物忘れの予防対策の1つに、運動と知的活動があります。しかし、なぜ運動や知的活動が認知症予防になるのでしょうか?


ここでは、それぞれが認知症予防につながる理由と具体的な運動・知的活動の方法を解説いたします。

「運動」が認知症・物忘れの予防にいい理由

運動が認知症・物忘れの予防にいい理由は、生活習慣病の予防になるからです。認知症が発症する原因の1つに糖尿病や肥満、高血圧などの生活習慣病があります。そのため、生活習慣病を予防することで認知症の予防にもつながるのです。

実際に、認知症と運動に関わる20つの論文で、「運動」により認知機能の低下を防ぎ、認知症の発症を抑えたということが明らかになっています

参考:健康長寿ネット「認知症の予防」

https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/ninchishou/yobou.html#:~:text=%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E7%97%87%E4%BA%88%E9%98%B2%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81,%E3%82%92%E3%81%99%E3%82%8C%E3%81%B0%E3%82%88%E3%81%84%E3%81%8B&text=%E3%81%BE%E3%81%9A%E7%AC%AC1%E3%81%AF%E3%80%81%E9%80%B1,%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%92%E7%A4%BA%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

「知的活動」が認知症・物忘れの予防にいい理由

知的活動がいい理由は、脳の機能を積極的に使うことで脳が衰えにくくなるからです。

知的活動とは、脳を刺激して認知機能を鍛えること。認知機能には、記憶力、注意力、思考力、判断力などの8つの機能があります。そして、これら8つの認知機能をゲームや課題を通して脳を鍛えることで、認知機能の低下を防げることがわかっています。

参考:浦上克哉「科学的に正しい認知症予防講義」翔泳社2021年出版

認知症・物忘れに効果的な運動・知的活動をご紹介!

それでは、具体的な運動・知的活動の方法についてご紹介いたします。

お年寄りでも簡単にできる方法なので、認知症・物忘れの予防に毎日少しずつ続けてみてください。

具体的な運動方法

認知症予防の運動は、体を動かすのと一緒に頭も運動させるのがポイントです。運動することで脳を活性化させ、頭の運動も一緒にすることで脳機能をより効率的に鍛えることができます。

では具体的にどのような運動をすればいいのか例を2つご紹介します。

① 散歩+短期記憶

体を動かすこととして「散歩」、そして脳の運動として「最近の出来事を思い出すこと(短期記憶)」を組み合わせてみましょう。

最近の出来事とは、昨日の起きたことや食事内容、人と話したことなどで構いません。

毎日の散歩中に、ふと何かを考えたり思い出したりしてみるだけなので、簡単に始めることができます。

② ラジオ体操+しりとり

すぐにいつでもどこでも始められる運動としておすすめなのが、ラジオ体操をしながらしりとりをすること。

通常、しりとりは2人以上で行いますが、ここでは一人で頭の中でしりとりをするのでOK!

また、しりとり以外でも、暗算や俳句を考えるなどの脳の運動を組み合わせるのもおすすめです。

散歩やラジオ体操は「運動が苦手」という方でも始めやすい運動なので、ぜひ挑戦してみてください。

参考:LIFULL介護「認知症予防|今日から見直す具体的な生活習慣」

https://kaigo.homes.co.jp/manual/dementia/basic/prevention/method/#:~:text=%E7%9F%A5%E7%9A%84%E6%B4%BB%E5%8B%95%E3%81%AF%E7%89%A9%E4%BA%8B,%E6%9C%89%E5%8A%B9%E3%81%AA%E4%BA%88%E9%98%B2%E6%B3%95%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

具体的な知的活動

知的活動には8つの認知機能を鍛える方法がそれぞれあります。

それぞれの認知機能の解説と鍛え方を以下の表にまとめているので、ご確認ください。

機能の種類 解説 具体的な方法
視空間認知機能 空間全体のイメージをつかむ力 塗り絵・貼り絵などの図画工作、生花や園芸など
注意機能 1つのことを続ける、特定のものを見つける、同時に注意を向ける力 文字探しゲーム、迷路、パズルなど
近時記憶 記憶▶︎意識しない▶︎再度思い出す力 記憶力ゲーム、神経衰弱(カード合わせ)、勉強など
作業記憶 作業を行うときに頭に重要な情報を置いておく力 クロスワード、ナンバープレイスなどのパズル、数字の逆唱
計算力 数の理解、計算能力 計算問題
思考力 頭の中で情報整理する、新しいものを作り出す力 おしゃべり、50音作文、俳句、川柳、しりとりなど
遂行力 計画の遂行や効率よく進めていく力 料理、手芸、折り紙、楽器演奏など
判断力 物事を正しく認識、状況に応じて必要なものを選ぶ力 ジグソーパズル、お手玉、バランスゲーム

参考文献:浦上克哉「科学的に正しい認知症予防講義」翔泳社2021年出版 149ページ


知的活動は、一人でできるものと2人以上の集団でできるもの2種類があります。

パズルや迷路、計算などは一人でもできるので、今からすぐに始められておすすめです。

おしゃべりやしりとり、ゲームなどは誰かと一緒でないと成立しない活動になるので、パートナーや友達と一緒にはじめてみてください!