認知症に使われる治療薬【5章-2】

認知症の治療薬の種類とは

認知症・物忘れ予防の医薬品ではなく、認知症の治療薬にはどんなものがあるのでしょうか?

現在使用されている認知症の治療薬は以下の4つです。

薬名
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬 アリセプト
レミニール
イクセロンパッチ・リバスタッチパネル
NMDA受容体拮抗薬 メマリー

アセチルコリンエステラーゼ阻害薬とは

アセチルコリンエステラーゼ阻害薬はアルツハイマー型認知症またはレヴィー小体型認知症に使われる薬で、アセチルコリンという神経伝達物質の減少を防ぐ働きをします。

アセチルコリンテラーゼ阻害薬には、アリセプト・レミニール・イクセロンパッチとリバスタッチパネルという3種類の薬があります。

■アリセプト
アリセプトは認知症の薬として昔から使われています。認知症の重症度に合わせて量が選べ、水無しで飲める口腔内破壊錠やドライシロップ剤やゼリー剤など飲み方も豊富です。アルツハイマー型認知症とレヴィー小体型認知症の治療薬として認められています。

■レミニール
レミニールはアルツハイマー型認知症のみの治療薬です。錠剤、口腔内崩壊錠、内服液があり、重症度に合わせて量を増やしていきます。

■イクセロンバッチ・リバスタッチ
イクセロンパッチ・リバスタッチもアルツハイマー型認知症にのみ使われる薬です。「イクセロンパッチ」と「リバスタッチ」の2つの名前がありますが、製造している会社が違うだけで同じ薬です。こちらは貼るタイプの薬なので、飲み薬が苦手な方や飲み薬を吐き気で飲めない場合に使われます。

NMDA受容体拮抗薬とは

NMDA受容体拮抗薬は、神経細胞障害や記憶、学習能力の障害を抑える働きがある薬です。
アルツハイマー型認知症の進行が進むと「グルタミン酸」という神経伝達物質が過剰に働き、記憶に関して障害が生じます。

NMDA受容体拮抗薬はグルタミン酸を抑え神経を守ることで、記憶障害の一部を改善させ、症状の悪化を抑えてくれます。

■メマリー
メマリーはNMDA受容体拮抗薬で、脳内の過剰なグルタミン酸の活性化を抑え、記憶・学習障害を抑制します。中等度から重度のアルツハイマー型認知症の進行抑制によく使われます。

参考:和歌山県立医科大学附属病院認知症疾患医療センター「認知症のお薬について」
http://www.wakayama-med.ac.jp/med/dementia/ninchisyou/medicine.html#:~:text=%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E7%97%87%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%97%E3%81%A6,%E3%81%AE%E3%81%AF%E9%9B%A3%E3%81%97%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%93%E3%82%8D%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
薬のしおり「メマリー錠」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/kekka.cgi?n=18386

認知症の治療薬に含まれる成分

認知症の治療薬の種類について紹介しましたが、それらの薬にはどのような成分が含まれているのでしょうか?
それぞれの薬に含まれる有効成分を表にまとめました。

薬名 有効成分
アリセプト ドネペジル塩酸塩
レミニール ガランタミン臭化水素酸塩
イクセロンパッチ・リバスタッチパネル リバスチグミン
メマリー メマンチン塩酸塩

どの成分も聞いたことない方が多いのではないでしょうか?
サプリメントと違い、より医療的な成分が含まれているのが医薬品、治療薬の特徴ですね。