口内口臭の原因とメカニズム【2章-3】

口臭には2種類ある「生理的口臭」「病的口臭」

生理的口臭とは、起床時に起こる口臭やニンニク、アルコールを摂取したときに起きる口臭です。基本的には、歯磨きや唾液の分泌で抑えられ、生活習慣の改善が生理的口臭の予防につながります。

病的口臭とは、歯周病や舌苔、糖尿病などが原因で起こる器質的・身体的な口臭です。病的口臭のほとんどは口腔内環境に関係しており、歯周病や虫歯、プラークや舌苔などが直接的な原因です。

表:「口臭の分類」
<生理的口臭>

一般的な生理的口臭 加齢性口臭、起床時口臭、空腹時口臭、緊張時口臭、疲労時口臭など
ホルモンの変調などに起因する生理的口臭 妊娠時口臭、月経時口臭、思春期口臭、更年期口臭など
飲食物や薬物による生理的口臭 ニンニク、アルコール、薬物(活性型ビタミン剤)など

<病的口臭>

歯科口腔領域の疾患 歯周炎、特殊な歯肉炎、口腔粘膜の炎症、舌苔、悪性腫瘍など
耳鼻咽喉科領域の疾患 副鼻腔炎、咽頭・喉頭の炎症、悪性腫瘍など
全身(内科)疾患 糖尿病(アセトン臭)、肝疾患(アミン臭)、腎疾患(アンモニア臭)など

参考文献:本田俊一「もう、口臭で悩まない!」アーク出版,2015年出版

口内口臭の原因のほとんどは「舌苔(ぜったい)」

舌苔とは舌の表面にある白い汚れで、歯周病菌などの嫌気性菌(けんきせいきん)が舌に溜まっている状態です。

この嫌気性菌が食べ物や唾液などに含まれるタンパク質を分解・発酵するときに、ガスが発生します。これが口臭です。

口臭の原因には口腔内についているプラークも含まれますが、歯磨きでプラークを取り除いても、舌苔を除去しなければ口臭が改善されない場合もあります。

そのため、口臭が気になる方は、歯磨きだけでなく舌磨きも必要です。

唾液の減少も口臭につながる

唾液には、口腔内を洗浄する作用があります。口腔内を洗浄することで、タンパク質を分解する細菌の増殖を防ぎ、口臭を抑えられます。

逆に、唾液の量が減少して口腔内の洗浄効果が薄れると、口腔内細菌が増殖し、口臭が強くなります。

特に、朝起きたときや緊張したとき、ストレスがあるときには、唾液の分泌が減りやすい傾向があるため、生理的口臭が発生しやすいのです。

また女性の場合、ホルモンバランスによっても唾液の量が増減します。そのため、月経前後や妊娠しているときに口臭が発生することもあるので、覚えておきましょう。

口臭のメカニズム

画像出典:本田俊一「もう、口臭で悩まない!」電子書籍ページNo.653,アーク出版,2015年出版

生理的口臭の場合、寝ている間や食後に、口腔内に残ったタンパク質のカスが嫌悪性菌に分解されて臭いが発生します。
特に、唾液が減ると細菌が増殖し、臭いが強くなる傾向があります。

病的口臭の場合もメカニズムは同じです。
しかし、病気によって、嫌気性菌のすみかでもある舌苔やプラークができやすいことが原因なので、積極的な改善が必要です。

生理的口臭も病的口臭も口腔内環境の乱れが原因なので、口腔内乾燥を防いだり、舌苔やプラークの除去をしっかりすることで予防していきましょう。