第3章 認知症・物忘れ・ボケの原因とメカニズム〜認知症・物忘れ・ボケの原因から予防しよう!〜 

【302】認知症のメカニズム

認知症について考える女性のイラスト

アルツハイマー型認知症のメカニズム

認知症の中でも最も発症率が高く、知名度もある「アルツハイマー型認知症」。 では、アルツハイマー型認知症はどのように発症するのでしょうか? アルツハイマー型認知症の原因となる物質は「アミロイドβ」「タウたんぱく」があります。 どちらも異常なたんぱく質で、脳に蓄積することで悪さをします。 アミロイドβは脳内に溜まって、最終的にはアミロイド繊維となります。 このアミロイド繊維は、脳の神経細胞やシナプスを破壊したり、死滅させたりする強い毒性を持っています。 これがアルツハイマー認知症の原因の1つです。 タウたんぱく質は何らかの原因でリン酸と結合し、アミロイド繊維同様に、脳の神経細胞を死なせてしまいます。 ただし、アミロイドβの蓄積に比べると、蓄積がはじまるのが遅く、 60代後半からタウたんぱく質の蓄積が始まります。 そのため、若いうちから予防をするのであれば、アミロイドβの蓄積予防を心がけましょう。

アミロイドβとタウタンパク質

出典:杉本八郎「世界初・認知症薬開発博士が教える 認知症予防 最高の教科書」講談社2020年発行,No.156

参考:相談e-net「アルツハイマー型認知症の原因・症状」

https://sodan.e-65.net/basic/ninchisho/hayawakari_alzheimer.html

脳血管性型認知症のメカニズム

脳血管性型認知症は、脳梗塞(のうこうそく)や脳出血などの脳の血管に関する病気や疾患から起こる認知症です。 脳梗塞や脳出血が生じることで脳の細胞に酸素が届かなくなってしまい、脳の神経細胞が死んでしまいます。

認知機能障害(物忘れやボケなど)
BPSD(行動・心理症状)
身体的な症状

BPSD(行動・心理症状)とは、急に落ち込んだり、些細なことで泣いてしまったり感情の動きが激しくなる症状です。 身体的な症状では、手足の痺れ・麻痺や感覚障害などが発生します。
アルツハイマー型認知症では、BPSDや身体的な症状が現れにくいですが、脳血管性型認知症では、 認知機能以外の症状が出ることを覚えておきましょう。

参考:相談e-net「血管性型認知症の原因・症状」

https://sodan.e-65.net/basic/ninchisho/hayawakari_noukekkan.html

レビー小体型認知症のメカニズム

レビー小体型認知症は、幻覚が見えたり、睡眠中に突然怒鳴ったりなどの異常な行動が症状の1つとしてあります。 レビー小体型認知症の原因は、脳の神経細胞の中にある「レビー小体」と呼ばれる異常なたんぱく質です。このレビー小体が脳の神経細胞を死滅させ、認知機能障害が起こります。 レビー小体型認知症の具体的な症状には以下のようなものがあります。

認知機能障害(物忘れやボケなど)
BPSD(行動・心理症状)
抑うつ症状
パーキンソン症状
自律神経症状

パーキンソン症状とは、レビー小体型認知症の特徴的な症状の1つで、 筋肉がこわばったり、無表情になったりして、動作が遅く、倒れやすくなる症状です。 レビー小体型認知症は他の認知症よりも症状の幅が広く、わかりにくい種類の認知症です。 ただ、他の認知症の症状に比べて異常な行動が多かったり、時間帯によって気分の上がり下がりが激しくなったりするため、異常行動が発見の手がかりになることもあります。

参考:相談e-net「レビー小体型認知症の原因・症状」

https://sodan.e-65.net/basic/ninchisho/hayawakari_lewy.html