第3章 認知症・物忘れ・ボケの原因とメカニズム〜認知症・物忘れ・ボケの原因から予防しよう!〜 

【303】認知症になってしまう原因・原因因子

認知症のリスク因子について考える女性のイラスト

認知症の原因リスク因子をしっかり予防すれば40%は回避できる!?

認知症は誰でもなりうる症状ですが、早めの予防で回避できるものでもあります。 実際に、イギリスのロンドン大学での研究により、認知症には12の原因リスク因子があり、 それら全てを予防や改善することで認知症の40%は回避できるといわれています。 厚生労働省によると、2025年には、5人に1人の高齢者が認知症を発症してしまうと予測しています。あなたがその5人に1人の1人に当てはまってしまうかもしれないことをしかり認知しておきましょう。

認知症の原因12のリスク因子

<12のリスク因子>

①  教育歴 ②  難聴 ③  頭部外傷
④  高血圧 ⑤  過剰飲酒 ⑥  肥満
⑦  喫煙 ⑧  抑うつ ⑨  社会的孤立
⑩  運動不足 ⑪  大気汚染 ⑫  糖尿病

<認知症リスク因子【リスク割合】>

好奇心の低さ(教育歴)【7%】
喫煙【5%】
社会的孤立【4%】
抑うつ(うつ病)【4%】
高血圧・糖尿病・肥満(生活習慣病)【4%】
頭の怪我(頭部外傷)【3%】
運動不足【2%】
過剰飲酒【1%】

参考:浦上克哉「科学的に正しい認知症予防講義」

またこれらの12因子以外に、因果関係はわかっていないものの、 歯周病がアルツハイマー型認知症の原因の1つであることがわかっています。 そのため、口腔ケアも認知症予防の1つとして重要です。 これらのリスク因子は予防することで認知症を回避できる因子です。 また、この変えられる因子の合計割合は40%、つまり認知症の40%は回避できると考えることができます。 運動不足や喫煙、過剰な飲酒は、今すぐにでも変えられる原因因子です。 「当てはまるかも・・・」と思った方は、手遅れになる前に予防対策を始めましょう。

認知症の発症リスク因子

出典:浦上克哉「科学的に正しい認知症予防講義」翔泳社2021年出版,No.322,

Livington G, et al:Lancer. 2020;396(10248):413-446から引用・改変

最も高い認知症原因因子は「難聴」

認知症の原因リスク因子の中で、最も大きいリスク因子とされているのが「難聴」です。 45〜65歳の間に難聴になると、難聴がない場合に比べて「1.9倍」認知症のリスクが高まるといわれています。 一見「難聴」と「認知症」は関係ないような気がしますよね。 では、なぜ難聴になると認知機能を下げてしまうのでしょうか? 理由は、脳に伝わる情報が少なくなり、脳が使われなくなって脳が萎縮するからです。
人の話を聞き取りづらくなることで、「迷惑をかけていたらどうしよう」とコミュニケーションをとることを避けてしまいます。 そうなると、人との会話がなくなり脳を使わなくなってしまうのです。 そして、脳の機能が衰えることで認知症になるリスクも高まります。 また、難聴と共に「視力も低下」も認知症リスクの1つといわれています。 ただ、視力に関してはメガネやコンタクトで対策をしている方が多いため、 大きな原因因子としてリストアップされていません。 視力と同じように聴力も衰えさせないように対策していくことが重要です。

参考:浦上克哉「科学的に正しい認知症予防講義」翔泳社2021年出版