第4章 認知症・物忘れ・ボケの予防・改善方法
〜運動・知的活動・コミュニケーション・サプリメントで認知症を予防しよう〜

【405】⑤薬・医薬品による認知症対策

薬・医薬品による認知症対策

認知症対策に「薬・医薬品」は意味があるの?

認知症の予防対策に薬や医薬品は効果があるのでしょうか? 残念ながら、認知症になる前に「認知症にならないために飲む薬・医薬品」というのは存在しません。 現在ではあくまで、認知症と判断されてから進行を遅らせる薬・医薬品のみ使われています。 では、「認知症になってから薬や医薬品を飲んで意味はあるの?」と思った方へ。 今の医学では、認知症を完治させたり、死んでしまった脳の神経細胞を蘇らせたりする方法はありません。 認知症になる前(MCI)であれば、生活習慣の見直しや必要な成分の摂取で認知症を防ぐことができます。しかし、認知症にかかってしまうと、後は認知症の進行を遅くすることしかできません。 そのため、認知症になってしまった場合、最優先すべきなのが「認知症の進行を遅くすること」なのです。 認知症予防対策ではなく、「認知症の進行対策」として薬や医薬品が使われています。

認知症の進行対策にはどんな薬・医薬品があるのか?

認知症の進行対策に効果のある薬はいくつかあります。 また、認知症の種類によっても使われている薬や医薬品の種類が変わります。 現在では、アルツハイマー型認知症に使われている薬が3種類、 レビー小体型認知症に使われている薬が1種類の合計4種類が認可されています。

アルツハイマー型認知症

  • ①メマリー(メマンチン)
  • ②レミニール(ガランタミン)
  • ③リバスタッチ・イクセロンパッチ
  • ④アリセプト(ドネペジル)

レビー小体型認知症

  • ①アリセプト(ドネペジル)

それぞれの効果や使用時期について、以下の表にまとめています。

アルツハイマー型認知症・薬品

効果 副作用 服用時期
アリセプト 記憶障害の緩和 吐き気・嘔吐・食欲不振・下痢・興奮 軽度〜重度の症状
レミニール 記憶障害・見当障害の抑制 吐き気・嘔吐 軽度〜中程度の症状
リバスタッチ・イクセロンバッチ 記憶障害の緩和 かゆみ・発疹・胸のかゆみ・頭痛 軽度〜中程度の症状
メマリー 中核症状の緩和 めまい・便秘 中度〜重度の症状

アリセプトは認知症の進行を遅らせる働きがある塩酸ドネペジルが含まれている薬品で、 記憶障害の緩和が期待できます。レミニールは、アセチルコリンが行う神経伝達を補助し、 記憶障害や見当織障害の症状を抑えます。 そして、メマリーは神経細胞の興奮死を防ぐ働きがあり、精神を落ち着かせてくれるタイプの医薬品です。 そのため、認知症の進行を遅くするのではなく、認知症の症状を緩和してくれる働きがあります。 アリセプトやレミニール、メマリーが飲み薬なのに対して、リバスタッチ・イクセロンバッチは貼り薬です。 飲み薬を嫌がる患者やうまく飲み込めない方が使用できる医薬品となっています。

レビー小体認知症・薬品

効果 副作用 服用時期
アリセプト 記憶障害の緩和 吐き気・嘔吐・食欲不振・下痢・興奮 初期〜中期

アルツハイマー型認知症の進行を遅くする薬でもあるアリセプトは、レビー小体型認知症にも効果があります。 こちらも神経伝達物質の減少を防いで記憶障害の緩和が期待されます。

血管性認知症や前頭側頭認知症に使う薬はまだない

今現在では、血管性認知症や前頭側頭認知症に使える薬はまだありません。 そのため、血管性認知症では、認知症の原因となる脳梗塞や脳出血が発生しないための薬を服用することで予防します。 前頭側頭認知症の場合は、行動や心理的な障害を抑えるために抑うつ薬などを服用して、症状を緩和させます。

参考サイト:みんなの介護「【専門家が監修】認知症薬の種類・副作用・効果を解説!服薬管理のコツは?

https://www.minnanokaigo.com/guide/dementia/medicine/